瀧安寺の境内にごうごうと火柱が舞い上がり、立ち込める白煙のなか、山伏たちが一心に祈りを捧げる——
その名も「採燈大護摩供(さいとうだいごまく)」。
滝道沿いで行われる大規模な伝統行事ですが、意外とご存知ない方も多いのでは?
今回はそんな圧巻の光景を、写真たっぷりでお届けします!
「採燈大護摩供」ってどんな行事?

一言でいうと、「みんなの願いを、巨大な炎と煙に乗せて天に届ける法要」です。
毎年3回(4月15日・7月7日・11月7日)開催されていて、当日は関西一円から山伏(やまぶし)たちが箕面に集結します。
まずは阪急箕面駅を出発し、法螺貝(ほらがい)を響かせながら滝道をズラリと行列で練り歩いて瀧安寺へ。

到着後はさまざまな儀式を経て、いよいよ屋外の「護摩壇(ごまだん)」に火が入り、人々の願いを乗せて祈りが捧げられます。
……と、座学はこれくらいにして。ここからは、当日の流れをタイムスケジュールに沿って追いかけてみましょう!
【コラム】なぜ箕面でこの行事が?
実はこの行事、「修験道(しゅげんどう)」の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)を供養する意味も込められた法要なんです。
修験道とは、日本古来の山岳信仰をベースに、仏教(密教)や神道などが混ざり合って生まれた日本独自の信仰スタイルのこと。
その修験道を切り拓いた役行者は、名前を聞いたことがないという方も多いかもしれませんが、あの「空海」や「行基」と並び称されるほど、実は桁違いにすごいお方なのです。
では、なぜそんな歴史的偉人ゆかりの行事が箕面で行われるのか。それは、箕面の山が役行者にとって特別な場所だから。
箕面は、役行者が大滝の下で修行を重ねて悟りを開いた地であり、そして最期に天へと昇ったと伝わる聖地でもあるのです。
いつものお散歩コースのすぐそばに、そんな壮大な歴史が眠っているなんて驚きですよね。
10:00 | 法螺貝を響かせ滝道を行く「山伏大行列」

朝10時前。阪急箕面駅前には、すでに数十名もの山伏たちがぞろぞろと集結していました。
日本古来の信仰である「修験道(しゅげんどう)」の行者のこと。山にこもって厳しい修行を重ねることで、人々を救うための特別な力を身につけると言われています。
そして午前10時。「ブォーッ」という法螺貝(ほらがい)の重低音が駅前に鳴り響き、それを合図に、瀧安寺を目指す大行列が出発します。


隊伍を組んで滝道を練り歩く姿は、まさに圧巻の光景。


意外だったのは、想像以上に見に来られている方が多かったことです。
行列のすぐ隣には一緒に歩きながら見学する人の列もでき、普段の平日ののどかな滝道とは打って変わって、かなりの賑わいを見せていました。


そのまま歩くこと約20分。午前10時半前に一行は瀧安寺へ到着します。
おなじみの朱色の橋(瑞雲橋)を渡り、山伏たちは境内にある客殿へと入っていかれました。
10:30 | 最前列でいそいそ場所とり
ぼくは場所取りのため一足先に、護摩壇(ごまだん)が組まれた広場へ。

10時半の時点では待機している方はまだほとんどおらず、一番見やすい最前列をちゃっかり確保できました。
ただ、11時前後には人が増えてくるため、最前列で見たいという方は「10時50分ごろ」までには待機しておくのがおすすめ。
11時5分ごろ、朱色の橋のほうからふたたび山伏たちが姿を現します。そのまま会場入りするかと思いきや、会場の手前にある階段を登って本堂へと向かわれました。

そして待つこと約20分。11時25分ごろになって、ようやく一行が広場へと降りてきます。
11:25 | 山伏問答と、弓・剣・斧を用いた清めの儀式
ここから、護摩壇に火を入れる前の「場を清める儀式」が次々と執り行われます。
山伏問答(やまぶしもんどう)

まずは結界の入り口で行われる厳しい入室審査。
中に入ろうとする一行に対し、結界を守る者が「お前たちは本当に修行を積んだ正しい山伏か?」と激しく問い詰めます。

無事に問答をパスし、数十名の山伏たちが結界の中へ。全員が護摩壇をぐるりと囲むように着座します。
法弓の儀(ほうきゅうのぎ)
東西南北と中央、そして鬼門に向けて矢を放ち、四方八方からやってくる魔を祓って結界に強固なバリアを張る儀式。
矢が空高く放たれると、見学者からも思わず「おおっ」と声が漏れます。
法剣の儀(ほうけんのぎ)

目に見えない邪気や、人々の迷い・煩悩を鋭い剣で断ち切り、空間をさらに清めるための儀式です。
斧の儀(おののぎ)

本物の大きな斧を勢いよく振り下ろし、道場の魔を祓い清める儀式。
もともとは護摩壇を組むための壇木(だんもく)を切り出す所作をかたどったもので、そこには人々の迷いや煩悩を断ち切るという意味も込められています。
11:50 | 点火!境内を飲み込むド迫力の煙と読経


11時50分、ついに護摩壇へ点火。
火が入ると、まるで白龍が天へ昇っていくかのように、モクモクと白い煙が立ち上り始めます。

その強烈な煙を全身に浴びながらも、山伏さんたちは力強くお経を唱え、太鼓を打ち鳴らし続けます。
……ぼくはというと、煙が流れてくるたびに鼻と口を覆っていました。まだまだ修行が足りません。
しばらくすると、今度は赤い炎がごうごうと。

そこに、人々の願いが込められた護摩木が次々とくべられていきます。
◇
すべての護摩木がお焚き上げされ、大迫力の「採燈大護摩供」は無事に幕を閉じました。

儀式が終わったあとも会場に残っていると、護摩壇に使われていた「ひば(緑の枝)」を持ち帰る方の姿が。聞いてみると、この日は持ち帰ってもいいとのこと!
せっかくなので1本いただき、会場をあとにしましたよ。

まとめ
いや〜、箕面でこんなにすごい伝統行事が行われているなんて、恥ずかしながらぜんぜん知らなかったです……。
現場で感じる炎の熱気や、全身を包み込む煙の匂い、そして山伏さんたちの力強い読経は、間違いなく「一見の価値あり」。

採燈大護摩供は毎年4月15日、7月7日、11月7日の年3回開催されています。
「まだ見たことがない!」という方は、ぜひ一度、この熱量を現場で体感してみてください。
ぼくと同じように、「箕面にこんな一面があったんや!」と驚くはずですよ。笑
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10:30 瀧安寺に到着
11:25 護摩壇広場にて各種儀式
11:50 護摩壇へ点火
12:20 終了
※時間はあくまで筆者が見た回の目安です。当日の進行状況により前後します。


